大人気韓国ドラマ「愛の不時着」人気の秘訣を考察する※ネタバレ注意

大人気韓国ドラマ「愛の不時着」。一部では不時着ロスも起こしているとか。

その古風なタイトルと突飛な設定に、最近ドラマにハマることがほぼなくなった私は、全く興味が持てなかった。

しかし、脚を怪我して自由に外出できなくなったこともあり、冷やかし半分で視聴を開始したところ大ハマり。毎話毎話、ハンカチを握りしめながら寝食も忘れて没頭してしまった。

このような現象について考察すべく、筆をとる。

「愛の不時着」とは？

「愛の不時着」は、韓国で2019年後半〜2020年にかけて放送されたテレビドラマであり、現在日本ではNetflixで限定配信されている。

大まかなあらすじとしては、韓国の財閥令嬢兼実業家であるユン・セリ（ソン・イェジン）と、北朝鮮のイケメン将校リ・ジョンヒョク（ヒョンビン）のラブストーリーである。

しかし、それだけではないのがミソなのだ。これから、一つ一つ解説していく。

一番に、リ・ジョンヒョクはどこを取っても最高に魅力的な男性なのである。

「将校」と聞いてイメージするように、リ・ジョンヒョクもといヒョンビンの容貌は、顔・スタイル共に非常に男性的で逞しい。時折見せるアクションシーンでも、それは顕著に感じられる。

一方で、昨今の日本の恋愛ドラマで主役クラスを演じるイケメン俳優は、決まって中性的な容姿である。色白で、前髪が長く、脚が腕のように細い、、、

日本のドラマにハマれなかった理由として、「主役をイケメンと思えない」ことも大きな理由だった私だが、リ・ジョンヒョクには一瞬で目がハートになった。

日本で流行りなのは、ドＳイケメンだと思う。「お前は俺のもの。」とか、「絶対に俺の側にいろ。」とか。私は全身にかゆみを感じるくらい苦手だが、キュンキュンするらしい。

だから「イケメン将校」と聞いて、そっちを想像している方がいたら非常に申し訳ないが、リ・ジョンヒョクには全くドＳさがない。それどころか汚らしい言葉は全く使わず、品格を感じさせる。

出会ったばかりの頃は立場上厳しい発言も目立ったが、それ以降は優しい。とにかく優しい。ユン・セリの幸せで落ち着いた生活を何より願っている。何も強制しないけど、その時彼女がした選択について冷静に見つめ、全力で味方になってくれるし、全力で守ってくれる。

これまで日本の恋愛映画・ドラマで繰り広げられるドＳ劇に白けていた私にとっては、革命的でありハマれた理由の一つだと思う。

リ・ジョンヒョクはこれまで解説してきた通り、不器用で優しいイケメン将校なのだが、物語が進むにつれて見せてくれる、ちょっとした嫉妬や心配する姿がとても可愛らしい。

普段はたくましくて頼れる存在なのに、少年のような可愛らしい姿を見せるリ・ジョンヒョクに、視聴者は胸キュンし、人間味を感じ身近な存在のように感じてしまうのだ。

超裕福ながら家族関係に恵まれず、孤独を感じながら幸せを掴み取ろうともがいて来たユン・セリ。

北朝鮮に来たことにショックを受けるものの、ジョンヒョクや兵士達との関わりの中で温かな気持ちを取り戻していく様子も必見である。

ユン・セリはファッションに精通している設定もあり、超ファッショナブルでゴージャスなビジュアル。それを演じるソン・イェジンは、バランスのとれた美しい顔に、毛穴１つない超美肌でスタイル抜群でのパーフェクト美女である。

それでいて、ハッキリとした物言いと聡明さ、生き抜くために茨の道を突き進むたくましさを持ち合わせているユン・セリ。

女性から支持されるのは明白だ。

財閥令嬢ゆえに家族との関係はビジネスライクで、安らぎを感じられるものではなかったセリ。同様に損得勘定抜きに付き合える友人はほとんど居なかった。

ジョンヒョクの愛や優しさはもちろん、北朝鮮で出会った兵士達との何気ないやりとりに、セリの凍てついた心は溶かされていったに違いない。

ユン・セリからは、「誰かに幸せにしてもらいたい」という感情は一切感じられない。結婚して幸せになるとか、結婚相手に幸せにしてもらう等という発想はない。

自身の経営する会社の業績を上げ目標を達成していく自己実現による喜びや、愛する人の幸せを幸せと思う気持ちが強いセリの、『他者に依存しない幸せ』は多くの人に快いものとして映ったのではなかろうか。

心配している人もいるかもしれないが、「愛の不時着」はハッピーエンドである。

日本で慣れ親しんだ恋愛マンガやドラマでは、「めっちゃ優しい良い人」は大抵報われなかった。ほとんどの場合、女の心を不安定にさせる危険な要素を持った男が、最後にヒロインと結ばれる。

これまでこの展開に、何度苦汁を嘗めてきたか。「そっちじゃない！！！」と何度思ったか。20代後半になってから、さらに強く感じるようになっていた。

一方で、「愛の不時着」のリ・ジョンヒョク（ヒョンビン）は、不器用だが正直で、ユン・セリの幸せを第一に考えている。一緒にいたら幸せになれそうな感じがバチバチに伝わってくる。そんな二人が結ばれるハッピーエンドなのだ。

「愛の不時着」の魅力は、先に挙げた３つだけではない。

愛すべき兵士陣、北朝鮮の奥様達、リ家の兄弟愛など語りたいことが多くある。

ぜひ食わず嫌いせず、観てみてほしい一作である。